★追記・・・2009.7.1.

『愛を読むひと』観て来ました!
『朗読者』を読んでとても感銘を受けました。
小説を読んで幾つか印象深いシーンは映画では
描写されていませんでした。
また 小説には書かれていない映画の中で描かれた
マイケル(小説でミヒャエル)の娘さんと心の中の打ち明け・・・
そして収容所から生き延びた数少ない女性の「許さない」という強い決意などなど・・・
◆映画のキャストは原作のイメージを
さらに深く広げる 好感のもてる俳優陣だったと思う。
『朗読者』原作の松永美穂さんの訳がとても巧くて
私自身はかなり頭の中でストーリーのイメージが
立体的に膨らんではいたけれど
映画を観てさらにドラマの世界の
細かい描写をひろうことができた。
たとえばスクリーンに映る
私の見たこともない知らない国の
広がる景色、町並み、人々のファッション
ハンナの住まいの調度品
ストーリー前半のハンナとマイケルの蜜月シーンでは
バスタブ、給湯器、流し台、洗面台、水回り機器
燃料のコークスなど・・・・。
これらを眺めてきただけでも意義深い時間だった。
◆『愛を読むひと』を観たことで
原作『朗読者』を読み終えた時よりも増して
「わからない」ことが湧いてくる・・・・。
ストーリーは
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「ハンナが死んでしまって
あれから10年の歳月が流れてしまった。
ハンナが死んで間もないころは
昔の疑問が僕を苦しめたものだった。
僕はハンナを裏切ったのだろうか。
僕はハンナに借りがあるのだろうか。
僕は彼女を愛したことで罪ある者となったのだろうか。
僕は彼女の思い出から離れるべきなのだろうか。
どうやって離れたらいいのだろうか。
ときおり僕は彼女の死の責任も自分にあるのかと考えた。
そしてときには彼女に対して
また彼女が僕にしたことに対して腹を立てた。
怒りが力を失い問いが意味を無くしてしまうまで。
僕がしたことしなかったこと彼女が僕にしたこと
何であれいまではそれが僕の人生だ。」
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これは原作『朗読者』の第三章の最後の最後にでてくる
ミヒャエル(映画ではマイケル)の独白だけれど
映画ではこの独白から始まる・・・・。
●人と人が縁を結ぶことってどんな意味があるのだろうか・・・?
●誰かの心の中に塞がれたままになっている孤独について・・・。
●非識字(文盲)による不利益について・・・。
●誰かの打ち明けられない秘密に触れてしまったら・・・。
●「知らない」ことで波及する罪
●「知ってしまったこと」から生まれる罪・・・。
まだまだいろいろ湧いてくる「わからないこと」
『愛を読むひと』はただのラブストーリーではないようだ・・・。
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