Milton Nascimento
ミルトン・ナシメント

◆1942年10月26日、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ生まれ。
ファミリー・ネームの「ナシメント」は、ポルトガル後で「出生」「起源」「家柄」などの意味。生まれてすぐリオ州に隣接するミナス・ジェライス州のトレス・ポンタスに移り、そこで脈打つ肥沃な音楽環境に囲まれて育つ。4歳でボタン・アコーディオンを弾き、13歳でバンドを結成。15歳でギターを持つと、“プラターズ”を模したコーラス・バンドで活動しながら、ピアノも学んで助走路を進んでいく。’64年に州都のベロリゾンチに移るのに前後して作曲やベースも始めると、’66年のソング・フェスティヴァルで4位に入賞。翌’67年に獲得した「最優秀男性歌手賞」を追い風に、デビュー・アルバム『トラヴェシア』(オーマガトキ)を発表。それを聴いた旧友のエウミール・デオダートの後押しで’68年に初渡米し、クロスオーヴァー・ジャズのCTIレーベルで『コーリッジ』(ユニバーサル　ミュージック)を制作。「ヴェラ・クルーズ」などボサノヴァをも置き去りにするナイーヴな作風を響かせ脚光を浴びた。母国では大手EMI系のオデオンとサインし、『ミルトン・ナシメント』『ミラグリ・ドス・ペイシェズ』(東芝EMI)などに、ミナスで育んだ深い奥行きの音感をインストール。これに熱中してきたウェイン・ショーターの『ネイティヴ・ダンサー』(ソニーミュージックエンタテインメント)に’74年に参加すると、自作の『ミルトン』(ユニバーサル ミュージック)をショーターやハービー・ハンコックらと録音。それから’80年代にかけ、アルバムを出すたび音楽性に磨きをかける一方、ショーターやハンコックのほかクインシー・ジョーンズやパット・メセニーなどジャズ系ミュージシャンとの交流を深め、M.P.B.のカリスマ的存在になった。’88年7月に初来日し、東京と大阪で衝撃的コンサートを実施。’90年にはスティングと共演。’91年の2度目の来日公演では、ショーターやハンコックらと『ネイティヴ・ダンサー』を再現。’94年には、再々度ハンコックやメセニーを迎えた『アンジェルス』、事故死したF1ドライヴァーのアイルトン・セナに捧げたコンサート・ライヴの『アミーゴ』を発表。糖尿病で休養するまでに共演してきたアーティストは、ポール・サイモン、サラ・ヴォーン、ジョージ・デューク、マンハッタン・トランスファー、ピーター・ガブリエルなど多岐に及ぶ。闘病の闇を抜けた’97年は奇しくもデビュー30周年に当たり、豪華ゲストを迎えた初の映像作品や、心機一転のスタジオ作品『ナシメント』をリリース。これで第40回グラミー(’97年度)の「最優秀ワールド・ミュージック・アルバム賞」を獲得すると、コンサート・ツアーも再開するなどして至宝の輝きを取り戻した。以来、フェイヴァリット・ソングばかりを集めた『クルーナー』、ジルベルト・ジルとの『ジル&ミルトン』(以上、注記のないアルバムはワーナーミュージック・ジャパンから)などで新機軸を見せ、60歳になった’02年には自身のレーベル“NASCIMENT”を設立した。最新作は、エリス・レジーナの娘マリア・ヒタ・マリアーノ、パット・メセニー、ハービー・ハンコックらをフィーチャーした『ピエタ』(Warner Bros.)。。
Blue Note TOKYOライブスケジュールより転記掲載
2007 4/27fri - 5/1tue